医療は国民の安全と安心を保証する重要な政策です。そのために病院や薬局など医療従事者には様々な法の縛りがあり、薬剤師も例外ではありません。ここでは医療の一翼を担うが故の法律とのかかわりについて紹介しています。
■厳しい制度のもとに成り立っている業界医療や医薬品業界には、他の業界にはない厳しい規制があります。それは、医療や医薬品が国民全体の生命や健康に大きく影響するという特別な性格を有しているからです。医薬品や医療材料などの物品は薬事法で規制されています。これは、医薬品や医薬部外品、化粧品および医療機器の開発や製造、流通、販売などに関する規制を定めたもので、処方薬やOTC薬を扱う薬局もこの法律で規定されおり、OTC薬を扱う場合には、その販売スペースについても既定の範囲内です。薬局を開設する場合には、構造設備や人的要件などを法律で認められるものにしなければならず、その上で、都道府県に申請することになります。このように、薬局で働く者にとって、きってもきれない法律ということになります。
■2つのスペシャリストと調剤に関する規定日本には長らく、病院や医院の院内で事務員が調剤をしてきたという歴史があります。調剤を行う薬局は医療提供施設として医療法の適用を受けますが、これはあくまで医療を提供する業務について規定したもので、その運営についてはすべて薬事法です。調剤行為は薬剤師のみがおこなえるものであり、本来法律の建前としては、患者さんが特別に希望する場合や船の上など特別な条件下以外では医師などが調剤できないこととなっています。例外的に医師が自ら処方するケースでも、医師の管理なく事務員などの無資格者が調剤を行うと法律違反となります。なぜ、こんなに厳しいかといえば、医師は一般の人の比べると薬の知識はありますが、その道のスペシャリストほどに専門ではないからです。
■チーム医療を抜きにできない時代に医学部6年間で出てくる薬理学や薬剤学の単位数は、薬学部の6年間に比べると1割にも届きません。医師と薬剤師の違いは、精神科の医院で出産を行ったり、内科で歯科のインプラント治療を行うことと同じくらい専門分野として異なるということです。世界的に医療のレベルが高いともいわれる日本でもまともに処方箋の1枚も書けない医師は全国的にも多く、新しい医薬品は年間20から40ほど承認されているという現実もあります。このようなことからも、法律で規制し医師は診断や治療に専念し、チーム医療として薬についてはそのスペシャリストの目でチェックするとうのが相応しく、それにより重篤な副作用などが回避されています。