薬剤のプロにとっては患者さんに対して「服薬指導」を行います。しかし、患者さんに一方的に説明するだけではトラブルを招くこともあるので、時にコミュニケーションの難しさに悩むことがあります。どんなことに気をつけるべきでしょうか。
一方的に患者さんに話をする薬剤師はあまり良い印象をもたれず、信頼度としては低いといえます。まずは、患者さんの話を聞くことがポイントです。新人のころにはとにかく業務をこなすことに意識が向きがちになります。
服薬指導として、薬の説明だけに焦点を合わせてしまうのは、決して間違いではありません。薬の情報を確実に伝えたいという姿勢からの説明ですが、コミュニケーションが一方的になってしまっています。患者さんの話を聞く姿勢が大事になります。
不安や疑問もあるので、それに回答するというスタンスで説明しますが、そこには対話が無ければなりません。
患者さんに寄り添うことも服薬指導ではポイントになります。自分の立場で説明をすると、それこそ専門用語が並ぶでしょう。患者さんの立場に立ったら、専門用語にはクエスチョンマークが浮かぶはずです。また、患者さんをよく観察しましょう。
足の不自由な患者さんを立たせたまま説明をしたり、耳の遠い患者さんなのに小さな声で話したりしていないでしょうか。メガネをかけていれば、薬袋の文字を指しながら、蛍光マーカーを使って線を引きながら説明したりも必要になります。
患者さんの立場に立ち、喜ばれる説明に励みましょう。また、待合室に目を向ける余裕も必要になります。患者さんはひとりではないので、不安になって待っている患者さんに声がけしたりするなど、積極的に気を配るようにすると、信頼を得やすくなります。
ひとつのホスピタリティにもなります。
服薬指導については、その説明の長さがポイントになります。薬の服用方法を説明する際、そこに不安を抱えている患者さんに対して簡単な説明だけでは納得しても不安な気持ちは解消できません。他にも、急いでいるのに待合室でずっと待たされていれば、イライラすることもあります。
表情や仕草に表れているのに、丁寧に長々とした服薬指導をすると険悪ムードになります。伝えなくてはならない内容だからこそ丁寧に、それは間違いではないのですが、患者さんの状況を見ながらボリュームは考えましょう。
ちなみに、一度の服薬指導で全部を説明せずに、重要なことをメインに伝えるとよいでしょう。帰宅してから電話にてまとめを伝えたり、次の来局時に復習を行いながら新しい説明を付け足すのもよいでしょう。