薬剤師は、患者に調剤や服薬指導、薬に関する相談に対してアドバイスをする、というイメージが強い職業ですが中には保健所で働く方もいます。そこでここでは、保健所での業務内容やメリット、注意点などを紹介していきます。
薬剤師は、薬事衛生や生活衛生、食品衛生や水道衛生などに関する業務が保健所での主な仕事となります。共通して各業者に対して扱うモノやサービスへの監視や許可、指導を行いますが、薬事衛生では医薬品や健康食品、または医療機器や化粧品などを扱う業者に対して、生活衛生では理美容店、温泉宿泊施設などに対して業務が執り行われます。
食品衛生では食品を製造している企業や飲食店、水道衛生ではプールや宿泊施設など水を管理する企業を相手に業務をすることとなります。また、添加物や放射線の検査を行う試験検査が行われることもあり、各企業が衛生的なサービスを提供しているかのチェックを通して、住民の生活の安全面を担う大切な仕事と言えます。
ちなみに、食中毒を防止することを住民や業者などに啓蒙する活動を行うこともあります。
保健所で働くということは、公務員の試験をクリアする必要がありますが、公務員と同じような働き方になるため残業が少なく、定時で帰れるケースが多いというメリットがあります。また、有給休暇も取りやすく、土日祝日は基本的に休みとなりますので業務に追われることは少ないでしょう。
さらに公務員のため福利厚生も充実していて雇用も安定しており、昇給制度に携わることも可能、解雇される心配もほとんどないので安心して働くことができるという利点もあります。実務年数を重ねれば給与もアップする職場環境ですので、経済面でも安定を望むことができるでしょう。
注意点としては、3年ごとに部署や職場を移動する必要があることが挙げられます。薬剤師と言っても保健所で働くということは、公務員という制度に従わざるを得ないので同じ部署でずっと働くことができません。
その分、様々な分野の業務を経験、学ぶことが可能ですが、一つの分野を突き詰めたい、という方には不向きかもしれません。また、転職を考えた場合、調剤業務や服薬指導の経験をしたことがないと、基本的な業務を一から始めることとなるため、病院やドラッグストアなど他の職場で即戦力として働くことは難しくなります。
逆に、保健所へ転職する際も、地域によっては採用に年齢制限や受験をする資格を設けている場合もあるため、転職の際は注意が必要です。