一般に、薬剤師の社会的地位が日本と欧米諸国では異なっていると言われています。ここでは、その違いを3つの観点から考察してみたいと思います。すなわち、専門性の高さ、給与及び社会的認知度それぞれの違いから両者の違いをみてみたいと思います。ただし、両者の違いは医療文化の違いや医療費の考え方の違いもあり、どちらがよいとか悪いとかという問題ではありません。
まず欧米と日本で薬剤師の専門性の高さに対する評価が異なっています。一般に、日本に比べて、欧米の方が専門性が高いと評価される傾向にあります。欧米でも日本と同様に、資格を取得するためには、6年制以上の薬学部を卒業する必要があり、厳しい国家試験に合格する必要があります。
他方、そうして資格を取得した後は、一部の国では「処方権」を与えられます。処分権とは、患者に直接薬を処方することができる権利です。これに対して日本の薬剤師は、医師から処方箋を受け取って調剤することが主な業務であり、この点で専門性や権限が低いと感じられることがあります。
続いて2点目として、給与の違いに関して、欧米と日本の違いをみておきましょう。一般に、欧米では、平均年収が1000万円以上であり、一方日本では、平均年収が500万円程度となっています。これは、医療費や文化の違いが主な原因となっています。
すなわち、欧米では、国によっては政府が規制することもありますが、一般に医療機関や保険会社が自由に医療費を設定することが多い状況にあります。これに対して、日本では政府が2年ごとに診療報酬を改定し、全国で統一された医療費を定めています。
また、それに加えて、医療サービスに対する需要や評価が欧米の方が高いです。これも医療費や文化の違いが原因となっています。
欧米では、医療従事者の専門性や権限が高く、最新の技術や治療法を提供することができます。しかし、その反面、医療機関へのアクセスや待ち時間は長くなる傾向があります。
日本では、フリーアクセス制度が採用されており、患者は自由に医療機関を選ぶことができます。また、高額療養費制度によって大きな出費を防ぐこともできます。しかし、医療従事者の専門性や権限は低く、最新の技術や治療法は特定の医療機関のみに限られているのが現状で、一般の医療機関で受けることが難しいのが現状です。