薬剤師の業務は、薬局や病院、介護施設などでの調剤や服薬指導、薬歴管理などが代表的です。しかし、近年では、医療用医薬品だけでなく一般用医薬品(OTC医薬品)に関する相談対応も増えています。また、医療現場ではチーム医療の一員として患者さんの治療に関わることも多くなっています。これらの業務が加わった理由は、社会的ニーズや法制度の変化によるものです。ここでは、どのような業務が出てきたのかを具体的にみておきたいと思います。
高齢化社会や生活習慣病の増加に伴い、患者さんが服用するお薬が多くなっています。一日に服用する薬の種類が増えるとともに、各薬剤の服用量が異なっているために、患者さんとしては、いつ何をどのくらい服用すればよいかを覚えきれない状況になっています。
もし間違った飲み方をしていれば、医薬的効果が半減する可能性があるのみならず、副作用が出てくる可能性もあります。そこで、これを防ぐ目的で、服薬指導の役割がさらに重要になってきているのです。
調剤された薬ではなく、患者さん自身が選ぶOTC医薬品がありますが、これは医療費抑制にはたらく反面、患者さん自身の自己負担額が増加することになります。また、患者さんが自分で選ぶOTC医薬品についても安全性や有効性を確保する必要があるため、OTC医薬品に関しても服薬指導が必要になっています。
ドラッグストアには常に専門の薬剤師が待機しているなど、 OTC医薬品を選択する場合には身近に相談役が配置されている点は、安心して薬剤一般が使用できる体制として心強い。
現在、医師不足や診療報酬改定により、チーム医療への移行が進んできました。処方権を有する医師としては、医学知識のみならず、増え続ける薬剤の効果やその副作用を適切に把握しておく必要があり、これは、医師にとってたいへんなことでもあります。
そこで、最終的に処方権を発動するのは医師だとはしても、薬剤に関しては薬剤師に委任して患者さんへの薬剤指導を任せるという形で、チーム医療が構成されてきています。チーム医療によって、各職種の専門性を活かした連携を作り、それぞれの得意分野を担当することで、全体的にバランスのとれた診療や治療方針が立てられるのです。
チーム医療は、医療の効率化や即時判断性、医療ミスの減少につながるなどメリットが大きい。