必見!薬剤師の仕事を学ぶ

2024年12月27日

高齢化社会の多剤服用問題へのアプローチ

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高齢化社会が進む中で、薬剤師の存在は不可欠なものとなっています。というのも、医薬品のプロとして高齢者の多剤服用を防ぐとともに健康を支える役割があるからです。では、具体的にどのような業務を行っているのでしょうか。

不要な薬を減らす提案をする役割

日本で高齢化社会が進むにつれて、医療現場では多剤服用(ポリファーマシー)の問題が深刻化しています。そもそも多剤服用とは、複数の薬を併用することで薬同士の相互作用や副作用が生じるリスクが高まる状態を指します。

高齢者は慢性疾患を抱えることが多く、複数の診療科で治療を受けるケースが少なくありません。複数の診療科で薬が処方されるため、多剤服用のリスクが高まるというわけです。このような状況に対処するため、薬の専門家として患者の薬の全体像を把握し不要な薬を減らす「適正使用」の提案を行う役割を担っています。

これにより、患者の健康を守るとともに治療の質を向上させることが期待されています。

薬剤レビューと呼ばれるプロセスとは

薬剤師が行う多剤服用への対応の中心は、薬剤レビューと呼ばれるプロセスです。このレビューでは、患者が服用しているすべての薬を確認し、治療に必要な薬とそうでない薬を評価していきます。その際、患者の生活習慣や身体状況を考慮し、副作用のリスクや服用の利便性も検討することになります。

さらに、医師と協力して処方の見直しを提案するケースも少なくありません。例えば、効果が重複している薬を減らすことや1日1回の服用で済む薬に切り替えることで、患者の負担を軽減することができます。このような多職種連携は、患者の治療効果を最大化するだけでなく、医療費の削減にも寄与します。

患者とのコミュニケーションが大事

多剤服用問題を解決するためには、患者とのコミュニケーションが欠かせません。薬剤師は患者に対して、薬の目的や正しい使い方を分かりやすく説明していきます。そして、疑問や不安を解消して、患者自身が薬の管理に積極的に関与できるようにサポートします。

特に高齢者の場合は、飲み忘れや誤飲を防ぐために薬の整理を支援したり、ピルケースや服薬カレンダーの利用を提案したりすることが効果的です。こうした取り組みを通じて、単に薬を渡すだけではなく、高齢者の健康を支えることができます。

高齢化が進む社会において、その役割は今後ますます重要性を増していくでしょう。