よく薬の注意事項の欄に、妊婦や授乳婦の服用は相談下さい、または使用を控えて下さいといった文言を見かけます。これは薬の種類や強さによっては、大切な赤ちゃんに影響が懸念されるからです。そこで近年注目を集めているのが、妊婦授乳婦専門薬剤師です。ここでは、その目的や特徴に関して詳しくみてまいります。
妊婦・授乳婦が不安をぬぐいきれずに出産や薬の服用をあきらめるケースを減らすことを目的として、妊婦授乳婦専門薬剤師が制定されました。妊婦・授乳婦への薬物療法は、患者さんと家族、赤ちゃんへのリスクを一番に考慮して行わなければいけません。
しかしながら、投与する薬物が妊娠や授乳期に使用して良いものなのかといった確実なデータが必ずしもあるわけではありません。そのため、限られた情報や倫理性をもとに妥当な判断をすることが求められます。
また、妊婦や授乳婦への服薬指導は、薬の服用と胎児や赤ちゃんへの影響を説明するだけではなく、患者さんと家族の不安を少しでも解消するために十分なカウンセリングを行うことも目的とされています。
それでは、具体的な仕事内容をみていきましょう。妊婦・授乳婦の薬物療法の情報を集めて医師に提供したり、薬のリスクを総合的に判断することが主となります。妊婦・授乳婦からの相談内容は、一人一人によって多岐に渡ります。
妊娠初期に服薬した薬や、持病のある方の妊娠相談、授乳の継続など、それぞれのケースにおいて正しい判断をしなければいけません。さらに、薬の評価や医師の診断をもとに、倫理性に配慮したカウンセリングを行い、患者さんを尊重した薬物療法を受けることができる環境を整えていきます。
そのため、薬物に関する高度な知識と経験の積み重ねが求められる仕事であると言えるでしょう。
求人先は、産婦人科がある病院、医療センターなど比較的大きな医療機関が中心となります。大学病院、総合病院、赤十字病院、国立病院、母子保健医療センター、公立病院などの産科や産婦人科が代表例です。
また、近年では晩婚化などにより不妊治療を受ける方が増えていることもあり、不妊治療を行なっている病院やクリニックからの求人も増えています。かつては妊娠・出産を扱う産婦人科が一般的であったこの領域も、近年では産科・婦人科・小児科・新生児科・不妊治療科などを総合して扱う医療機関が増えてきました。
今後はこうした医療の現場でも需要が伸びていくと考えられるので、この資格を取得することでキャリアアップへと繋げることもできるでしょう。