調剤をメインに行うのとは異なり、どちらかというと小売業における接客メインという位置づけで働く必要がある場所があります。患者さんはお客さんという立場になりますので、それに対応できるだけの柔軟性が求められるといえます。
薬剤師と言えば、医薬分業が定着した今、処方箋の通りに調剤を行い、患者さんに間違いなく薬を渡すことが主たる業務です。この業務を行う場所としては、調剤薬局がもっとも中心的な職場になるといっていいでしょう。昨今、病院では薬をほとんど処方することがありませんので、薬の専門家として医療チームに加わって働くことが新たな業務となっています。
どんな立場に立って働くことかによって、働く場所そのものを選ぶ必要が生じてきた時代になっていると言っていいでしょう。どこでなら自分の個性を生かし、なおかつ薬の専門知識をもっとも役立てられるのかの判断が、もっともむずかしいと言えそうです。
市販薬だけでなく、日用品や化粧品、さらには食料品に至るまで幅広い品ぞろえを誇り、日本人はもちろん、海外からの旅行客も一番楽しい買い物スポットと考えているのが、ドラッグストアです。法改正により、医療機関で提供される効き目の強い成分を含んだ市販薬が販売されることになり、そのためには薬の説明を行う必要性が生まれました。
その結果、どこの店舗でも第一類医薬品を扱うのであれば、薬剤師の常駐が義務付けられるようになったのです。病院、調剤薬局に続き、第三の選択肢としての職場が新たに登場したわけですが、先の二つが医療機関としての雰囲気を色濃く漂わせているのに対し、第三の選択肢はより販売業の範疇に入ると考えられます。
ドラッグストアで働く場合のメインの仕事は、市販薬についての質問に答えることです。そして、最適と思われる市販薬を勧め、時には副作用が出たといった相談にも乗ることになります。副作用についての相談は調剤薬局でも出ますが、医師の判断のもと処方されている薬ですので、まずは医師に相談するように持ち掛けることができます。
一方、店頭で案内した市販薬で副作用がでた場合、少なからず責任を問われることになります。そうならないようにするためには、しっかりと話を聞き、相手の求めを引き出し、現在の状況を把握するための会話力が必要です。
接客が苦にならず、むしろたくさんの人と話すのが好きという薬剤師なら、ドラッグストアでの市販薬の仕事は楽しいものになるのではないでしょうか。