薬剤師を目指すかどうか悩んでいる人もすでになろうと決めている人にとっても国家試験合格後にどんな仕事ができるのかを知っておくことで、向き不向きがわかったり目指すべきところが決まったりします。ここでは行政での仕事内容について紹介しています。
厚生労働省で働く国家公務員としての働き方公務員としての薬剤師の働き方には、国の行政に携わる国家公務員と地方において住民の健康を守る地方公務員とがあります。国家公務員に関しては、日本の医療や医薬品の監督省庁として存在する厚生労働省での仕事です。
ここでは薬事法に基づく医薬品や医療用品などの有効性や安全性の確保、対策などを担っています。また、医療施設における安全対策のほか、法律に基づく医薬分業の推進や資質の向上などを通じて医療全体への貢献のための政策を考えています。
ほかにも、血液事業や麻薬、覚せい剤対策など国民の生命や健康に直結している諸問題についても担っている国家公務員です。このうち医薬食品局では医薬品等の安全性や有効性の確保、新薬の開発に伴う治験の管理が行われています。
医薬分野に深くかかわる医療食品局以外にも健康局では地域の保健所などを通じて感染症や糖尿病、がんなどを含む生活習慣病の対策を講じています。また、エイズやインフルエンザなどの感染性の高い疾患の予防のための指針を定めるなど、感染症対策に積極的に取り組むのも仕事の一つです。
また、地方厚生局にあたる麻薬取締部で働く麻薬取締官という職業も採用にあたって薬剤師であることが条件の一つとされています。麻薬取締官は国内8地域に分けて設置されている各地域の麻薬取締部のいずれかに所属し、厚生労働大臣の指揮監督を受け、薬物犯罪について刑事訴訟の規定による司法警察官としての職務をおこなう権限を持っています。
ここでは、薬学の知識はもちろん法学、語学などの能力も必要です。
厚労省以外では、特許庁も実は知識が生かせる職場になります。特許権は著作権などとともに知的財産権の大きな柱として知られ、一件の特許でも大きな利益を生むことがあるため、権利化に向けて激しい争いがおこることが珍しくありません。
その中で、医薬品に関する特許などは薬学の専門知識が必要になる場合があり、職能を発揮できる分野です。また、地方公務員は、原則的に採用された自治体の公的機関に配属になります。都道府県などの行政で働く場合、薬務担当部課や保健所、健康安全センター、衛生研究所などさまざまな部局をローテンションしながら経験を積んでいく仕組みです。
この自治体勤務者の場合でも厚労省に出向することもあります。