製薬会社は2年ごとに引き下げられる薬価に対応すべくグローバル化が進んでいます。グローバル市場で闘っていくために、日々、新薬の開発のための研究にいそしむ薬剤師の仕事について、製薬会社の現状とともに紹介しています。
競合を避け自社開発のサポートをする薬品、特に医薬品を製造する企業が製薬会社であり、その中で創薬や新薬開発の現場というのも薬剤師が活躍できる職場の一つです。医薬品の需要は年々増大しており、その拡大する市場の中で、なるべく他と競合しない、自社でしか製造できない薬を開発することが求められています。
基礎研究からひとつの薬が出来上がるまでには、10年から20年という長い歳月を要し、途中で断念したものも含め1医薬品あたり数百億円の開発費用がかかっています。その研究開発には莫大な費用がかかるため、製薬会社は大規模な会社であることが多いですが、現在はグローバルな世界市場での生き残りのために、製薬会社のさらなる再編統合などが行われ、競争が激しい業界となっているのが現状です。
研究担当者となると、根気強く新規物質の合成を繰り返し、候補物質の有効性や安全性を確認していきます。新薬の開発によって、今まで救えなかった命を救うことができる研究でもあり、世界中の人々に貢献できる仕事ですからそれだけやりがいもあり、創出の喜びを得ることができます。
市場では、1品目で年間1000億円以上を売り上げるブロックバスターと呼ばれる医薬品があり、これらのように優れたものの開発の有無が企業業績に大きな影響を与えるため、研究開発は企業運営上の生命線ともいえる重要な役割です。
そのため、各社が研究開発やその効率の向上に力を入れています。大手製薬会社であれば、研究開発費に全体の15パーセントをかけています。
製薬会社はグローバル市場で先行者利益を得ようと、激しい闘いを繰り広げていることが現状です。そのため、製薬会社の研究所では、薬剤師に限らず、薬学や生物学、化学や農学といった専門分野を有する人材が、優れた医薬品の創出を目指して研究実験を繰り返しています。
研究開発自体は薬学以外を専攻したものでも可能なので、多くの人が働いています。医薬品開発という仕事自体がすぐに成果の見えるものではありませんが、毎日の研究実験などが時に大きな発見につながる夢のある職業です。
創薬を通して、人々の健康に貢献したいという困難で大きな目標に、強いモチベーションをエネルギーにして、製薬会社の研究者として働く者は日々研究にいそしんでいます。