児童生徒などの心身の健康の保持増進を図るためには、学校環境衛生活動が重要な役割を持っています。新学校環境衛生基準に基づき、より幅広い活動をする必要性がでてきた学校薬剤師についてここでは詳しく紹介しています。
目立たない存在だが学校で勤務している学校薬剤師とは、薬剤師が広く薬事衛生をつかさどる専門職としての立場から、法に基づき学校における、保健や安全管理に関して、実践および指導、助言を行うために設けれれた制度です。小中高など大学を除く、国立、公立、私立の全ての学校に置くことが定められていますが、実際に学校にそんな存在がいることすら気づいていない人も多いです。
これは、常勤の仕事ではなく、職務を行う時だけ学校を訪れるというスタイルでやっているからで、あまり生徒の目に触れることはありません。そのため、これだけで生計をたてるのは、ほぼ不可能で、学校の近くにある地域の薬局の管理薬剤師などが兼務で行っているというのが現状です。
そのため、どうしてもなりたいということであれば、地域の薬局に勤務するのが近道です。
本来、薬局の管理者というのは、ほかの薬局などの職場を兼務できないことになっています。しかし、都道府県知事の許可を得ることで、特別に学校に勤務することが可能です。基本的に学校設置者から任命させるものですが、学校設置主体の違いにより、地方公務員特別職という扱いであったり、非常勤の国家公務員であったりと立場が異なります。
しかし、いずれにせよ業務の内容は共通していて、主な仕事の内容としては、生徒が一日の大半を過ごす学校が健康的で安全な状態であるように教育環境に気を配り、定期的に検査を行うことです。そして、検査の結果をもとに保健室や学校長、教育委員会などに改善を助言します。
定期的に行う具体的な検査項目としては、教室の照度を測定し、生徒が授業を受ける上で負担のない明るさになっているか等の検査があります。また、温度や湿度にも気を配り、空気が汚染されていないかを検査することもあります。
また、勉強の妨げになるような騒音があると生徒の集中力にも影響し、場合によっては耳に障害を与えることもあるので、これらの確認も欠かせない役割です。ほかにも、飲料水やプールの水質検査も行うなど、いわば学校の衛生管理の番人として力を発揮しています。
ほかにも、近年若年層を中心に広がりつつある、違法ドラッグをはじめとする薬物乱用防止教育や、未成年の飲酒の危険性に関してなど健康教育にも力を注いでいます。世界中で日本だけにしかない制度であり、自分なりの地域貢献を考えることも可能です。