医薬分業が定着した今、病院内で薬が直接患者さんに手渡されることはめっきり少なくなりました。たいていは処方箋を持参し、近所にある調剤薬局で受け取ってもらうからです。そうなると、病院での仕事にも変化が出てきました。
■大きな病院での役割は自然に変化かつては大きな病院の薬剤部に勤務する薬剤師の主な仕事は、今で言う調剤薬局と同じでした。大勢の患者さんの薬を用意しなければならないので、まさに薬剤部は大勢のスタッフがいるにもかかわらず、てんてこ舞いの忙しさで、薬をもらうのにずいぶんと待たされた記憶を持つ人も多いことでしょう。
時代は変わり、すっかり医薬分業が定着した今となっては、薬剤部で薬を直接手渡すということはよほどのことがない限り、ありません。必然的に薬剤師が果たす業務内容も変わらざるを得ず、最近では入院している患者の薬のケアをする、病棟で仕事をする病棟薬剤師の存在感が増してきています。
医療と連携する新しいスタイルです。
病棟で専門に勤務薬剤師は、文字通り、病棟に入院している患者さんの薬を管理することです。一般的には医師の指示のもと、薬の用意をするというイメージがありますが、病棟で専門に働く場合、医師によって作成された薬物療法計画書に基づきながらも、医薬品の種類や投与の量、さらには投与の仕方についても自分の意見を述べることができます。
時には変更を申し立てるといったこともありますので、まさに医療スタッフの中の一員として、薬に関する発言を認められているのが、病棟薬剤師の大きな特徴です。
その代わり、医療チームの一員となるために、勤務時間は昼勤だけでなく夜勤も含まれてきますので、身体的にはハードになるでしょう。
調剤薬局の場合、医師の処方箋に基づいた調剤のみを行いますので、医療面に直接かかわりを持つということはほとんどありません。そのため、病棟薬剤師という立場で働きたいと考える人は、より密接に医療とかかわっていきたいという気持ちが強い人だと言えるでしょう。
昨今、医療現場においては医療技術や医療機器が飛躍的に進歩し、手術をするにしても術後の入院期間が非常に短くなってきています。抗がん剤等の治療においても、長期入院ではなく、入退院を繰り返しながら行うなど、やり方も変化してきています。
そんな変わり続ける医療の中にあって、薬でもって果たせる役割を担いたいと考える人にこそ、最適な職場と言えそうです。