最近は医薬分業が定着し、すっかり医療機関において診察を受け、薬は調剤薬局やドラッグストアで調剤してもらって受け取るという方法が確立しました。そのため、処方箋を持参しますが、その際にはちょっとしたトラブルが起こることもあります。
■間違っていても勝手に訂正はできない医薬分業が進み、すっかり定着した今は、処方箋を持って調剤薬局やドラッグストアに行き、そこで薬を調剤してもらって受け取るのが一般的になりました。その際、医師と言えども人間ですので、処方箋の内容が明らかに間違っている場合があります。
一日三回、毎食後に飲む薬なのに、処方箋には朝食後と記載されており、一日分の量をまるで朝食後にまとめて飲んでしまうかのような表記がされているといったような場合です。患者としても、そのようになっていると薬局で説明を受ければ、これは明らかに処方箋の記載ミスだとわかりますが、だからと言って薬剤師の立場からすると、もしかしたらということもあって、そのまま調剤をして渡すわけにはいきません。
摂取量が多すぎれば、今度は薬による弊害が起こってくる可能性が高いからです。
薬剤師として、明らかにおかしいとわかっていたとしても、そのまま処方するわけにはいかないことから、まず患者さんにどのようにして飲むか、説明がありましたかといった感じで尋ねてきます。たいていは、一日三回、毎食後に飲むようにと言われていますといった返答により、処方箋の記入間違いだということがわかりますが、それでもそのまま出すわけにはやはりいきません。
医療機関に電話をし、処方箋の内容におかしいところがあると伝え、正しい処方はどうなのかという返答をもらいます。そのうえで、単に処方箋の記載ミスであることがわかれば、薬剤師側で修正し、薬の調剤をしてくれます。
これは、面倒でも欠かせない作業です。
慢性疾患で飲んでいるお薬で、このような処方箋の記載でおかしなことがあった場合、おそらく記載ミスだろうなと推測できますが、それでも調剤を行う側の判断で薬を出さないのには理由があります。それは、時にはいつもとは違った方法で薬を服用し、症状の改善を図る必要があると医師が診断している可能性があるからです。
その場合、一日三回の間違いだろうと変更してしまうと、目指す治療が実現できないことになります。診察する立場が判断した内容が反映された処方箋になっているかを確認し、もしおかしいと思われるところがあればそれを確認することが、薬に関する国家資格を持つ者の仕事だといえます。