常勤での勤務を求められる薬のスペシャリストの職場は、近年、さまざまな範囲に拡大しています。そのため、国家資格を手にしたら、どのようなことをメインに行いたいか、業務内容についてしっかり考えてみることが大事です。
■大きく分けると3つの柱が浮かび上がります有資格者となって働く場所と言えば、大きく分けると3つの柱が浮かび上がってきます。病院などの医療機関、調剤薬局、ドラッグストアです。このほかにも、製薬会社に就職し、薬に関する知識を生かしながら新薬の開発に取り組む研究員になったり、医療機関にいる医師に薬の販売を行うにあたって、薬の専門知識を持っている点を生かして営業マンになるという選択肢もあります。
3つの柱と比較すると、製薬会社の研究員や営業マンは少数派ですので、3つの柱を経験してからの進路ということになる可能性が高いかもしれません。3つの柱の場合も、一般的には病院の薬局、そして処方箋を受け取る調剤薬局、さらには市販薬をも取り扱うドラッグストアへと順にお給料が高くなっていく傾向にあります。
3つの柱のうち、どこからスタートするにしてもどこで経験を積むにしても、常勤薬剤師としてあらゆる業務を経験することが大事になってきます。やはり時間給労働で一日のうちに数時間だけ入るというのでは、すべての業務を経験することは不可能です。
責任ある仕事を最初から最後まで任されるには、やはり常勤であることが条件になります。薬を扱う専門家として経験しておきたいことの多くは、常勤薬剤師として多くの時間を勤務することによって、積み重ねていくことができます。
医療機関で働く場合は、医療と薬とが連携して治療が行われるところに立ち会うことになりますし、調剤薬局ではある程度決まった患者さんと接することになり、より緊密に情報交換し合うことになるでしょう。ドラッグストアでなら、接客にも長けた薬剤師になれます。
医薬分業がすっかり定着したこともあり、病院内での薬剤師の募集数は確実に少なくなってきています。ただし、医療と連携してチームとして仕事をこなすという新しい働き方になってきていますので、これまでとは業務内容は違えども、重要な医療スタッフであることに違いはありません。
調剤薬局は、医療機関を受診した人にとって必要な薬を処方することから、もっとも薬剤師らしい業務内容だと言えるでしょう。確実に言えるのは、どの仕事を選んでも、働くことそのものに優劣の違いはないということです。
自分が積み重ねてきた経験値を生かし、常勤薬剤師としてもっとも力を発揮できるところはどこかを考えること、それが一番大事です。